師匠である株式会社ウィルフォワード代表の成瀬さんが登壇するイベントに参加してきた。
『働き方の未来を創造する〜クリエイティブ×自分の価値を大切にする生き方&働き方〜』というタイトルで開催されたそのイベントは、働き方が多様化しているフリーランス時代において、非常に参考になる内容だった。
「働き方改革」と言うが、企業が主語なら「働かせ方改革」だろう。しかも、同一労働同一賃金、リモートワーク、副業解禁などやり方ばかり。企業はなかなか本質的な在り方の変革ができない。企業に働き方を依存するよりもまずは自分の働く意味を見つめ、できることから取り組むのが真の「働き方改革」。
— 成瀬拓也 (@positaku) 2018年3月20日
質疑応答の場面で、「働き方が変化している、ということは理解している。けど、そこから具体的にどうキャリアを描いていったらいいのかが分からない」と質問をしていた就活生がいた。
「大学生のうちからパラレルキャリアをどう築くか考えて、こうしたイベントに参加しているなんて意識高いな〜」と尊敬せずにはいられなかったのだが、それに対する成瀬さんの回答が、就活生のみならず、これからのキャリアをどうするか考えている全ての社会人の参考になるなと思ったので、備忘録としてまとめておきたい。
キャリアの描き方〜幸せなフリーランスになるための5つの指標〜
やりたいことが見つからない理由を説明する前に、前提としてキャリアを描く上で参考になる指標を紹介したい。
ウィルフォワードが「どう働くか」「どう生きるか」を考える上で大切にしている下記の5つの指標である。
幸せなフリーランスになるための5つのwill(=意思、夢、目標、ビジョン)
①健康
理想の健康状態は?どれくらいの体力が欲しい?
②経済
自分が幸福度を感じられる年収は具体的にいくら?
③人間関係
誰とどんな関係で働きたい?家族とどう過ごしたい?
④やりがい
時間を忘れてついつい没頭してしまうことは何?
⑤貢献
愛しいと感じるもの、守りたいものは何?どんな人の力になりたい?
上記5つの項目の定義を明確にする時間を、定期的にとることをオススメする。
なぜなら、幸せの定義は人それぞれだから。
2つ目に挙げた「経済」を例にとって説明すると、「お金があればあるほど大好きな車や時計という趣味に投資できるので幸せ」と考える人もいれば、「生活に必要なお金だけ稼いだら、あとは家族との時間を楽しみたい」と考える人もいるだろう。
このように「幸せだ」と感じる条件や状況は人それぞれなのに、世の中や他人の評価軸で物事を選んでしまっては違和感を感じるのは当然だ。
だからこそ、自分はどんな生き方・働き方だったら「幸せだ」と思えるのか? を定期的に考えることは大切だと思う。
「やりたいことが見つからない」の正体
さて、私はありがたいことに前職時代からこの「幸せなフリーランスになるための5つのwill」という指標を教えてもらっていたし、それらについて考え、一緒に働く仲間に共有する時間も設けてもらってきた。
しかし、なかなか描きにくかったのが「④やりがい」、そして「⑤貢献」の部分である。
まだキャリアの浅い新卒の私にとって、「自分が誰に何を提供することができれば喜びを感じるのか」「そもそも私が価値として提供できることは何なのか」がわからなかったのである。
そこで参考になったのが、冒頭で述べた、就活生からの質問に対して成瀬さんが話されていた「『やりたいことがない』の正体」だ。
「やりたいことがない」の正体
①実現できるイメージが湧かない(やれるイメージが無い)
②選択肢が少ない(知っている範囲が狭い)
③「やりたいこと」にハードルを設けている
④面白みを知る前にやめている
①実現できるイメージが湧かない
実現できるイメージが湧かないと「やりたいこと」として描けない。
例えば、「お金持ちになりたい」と思っていながら、「資産がいくら以上になればお金持ちなのか?」「実際にお金持ちと呼ばれる人たちはどんな生活を送っているのか?」を知っている人はどれくらいいるだろうか。
なんとなく「やれたらいいな」と思っていることがあるならば、それを実現している自分をイメージできるかどうか考えてみるといい、とのこと。
イメージできないのだとしたら、より詳細を知ったり、実際に実現している人に会いに行くとイメージが湧いてくるかもしれない。
②選択肢が少ない(知っている範囲が狭い)
当然だが、知らないものは選べない。
知っている選択肢が少ないがゆえに、「この中にやりたいことが無い」と悩んでいるパターンである。
しかし、自分がいま知っている職業や働き方や生き方が全てではない。
成瀬さんは、「何を仕事にしたいか分からない」と悩んでいる就活生は、学生のうちはcanやwantが少ないのは当然なのだから、その少ないリソースを使って自己分析に膨大な時間を割くくらいなら、その時間を使っていろんな人に会いに行ったり、たくさんの経験を積んで知見を増やす(選択肢を増やす)方が個人的にはオススメだと話されていた。
③「やりたいこと」にハードルを設けている
「やりたいこと=すぐに対価を得られるくらい価値のあること」「やりたいこと=立派な大義名分」などとハードルを設けていないだろうか?
「南国に行きたい!かっこいい彼氏が欲しい!できれば働きたくない!SNSでいいね!沢山もらいたい!って思っている女性いませんか?やりたいこと、いっぱいあるじゃん!(笑)」と成瀬さんが話されていて、なるほどと思わず笑ってしまった。
④面白みを知る前にやめている
そもそも、その物事の面白みを知るまでにはある程度時間がかかるが、それを知る前に「自分には向いていない」「自分のやりたいことはこれじゃない」と投げ出してしまうパターン。
テニスを例に話されていて、とても分かりやすかったし納得した。
テニスの面白みが分かるのって、ある程度ラリーが続くようになって、サーブとかがきちんと入るようになってからじゃないですか。だけど、ラケットを握って少し打ってみて、ボールがコートに入らなかったら『私のやりたいことはこれじゃない』と面白みを知る前に辞めてしまう人がいる
そして、「『楽しい、面白いと思えるまでやってみる』というチャレンジは生涯続くので、やりたいことが定まらないことは気にしなくて良い」と仰っていたのも個人的にはとても励みになった。
大切にしたい価値観を守りながら、自分の価値を最大限に発揮できる働き方を創造する
これから、フリーランスとして活動していきたいと思っている私にとって、このタイミングで成瀬さんのお話を伺えたことはとてもラッキーだった。
また、漠然とした悩みは、行動ベースに落とし込めるまで細分化すれば大体解決できるんだなとも感じた。
・フリーランスとして働いている(フリーランスを目指している)
・何がしたいのか分からない
・天職が見つからない
・やりたいことが無い
・キャリアプランの描き方が分からない
・どう生きていきたいのか分からない
上記のような悩みを持っている方にとって、今回紹介させていただいた「幸せなフリーランスになるための5つの指標」と、「やりたいことが見つからない理由とその解決策」は、これからを生きる上で大きなヒントになるのではないだろうか。